円錐角膜

角膜(黒目)の中心〜やや下方が円錐形に尖り、そのために近視や乱視が進んでしまう病気です。
ある程度になると、眼鏡では視力が出なくなり、ハードコンタクトレンズによる矯正が必要になります。重症になると、コンタクトレンズも使いづらくなり、角膜移植が必要になることもあります。
思春期から青年期(10〜20歳代)で発症し、年齢とともに進行する人が多いですが、中年以降は進行速度がゆっくりになります。
しかし、進行して重症になってからでは治療法の選択肢が減ってしまいます。
角膜クロスリンキングという治療で進行を止めることができますので、早期に発見し、早いうちに治療を始めることが大切です。

クロスリンキング

円錐角膜の進行を停止させる手術です。
2003年に初めて報告されて以来、現在欧米やアジア諸国では、
進行性の円錐角膜に対して最初に行う治療と位置付けられています。
海外ではすでに35万件を超える手術実績があり、有効性と安全性が確認されています。
原理は、角膜に光感受性物質であるリボフラビンを浸透させて
紫外線を照射することにより、角膜実質のコラーゲン線維を架橋させて、
角膜全体の剛性を増加させ、角膜の変形を防止するとされています。

手術方法

  • 角膜上皮を剥がす
  • リボフラビン点眼
  • 紫外線照射

この3段階から成り立っています。
日帰り手術で局所麻酔で行います。
角膜クロスリンキングによる円錐角膜の進行停止率は、日本人の統計で92%です。
現時点ではまだ国内で未承認の治療のため自費診療で行う必要があります。
詳細については、文献をご覧ください。


参考文献
① 加藤直子 角膜クロスリンキング Medical Cornea(メディカルコルネア)時代の
幕開け 日本の眼科 第83巻10号 2012年 1330-1334頁 
② 加藤直子 角膜クロスリンキングのコツ 手術手技のコツ 
眼科手術 第28巻 2号 231-234頁 2015年
③ 加藤直子 【円錐角膜】 病態、病因、治療戦略(解説/特集)
IOL&RS 32巻1号 3〜8頁(2018年)
④ 加藤直子 角膜クロスリンキング 特集 円錐角膜の新しい治療 
眼科手術 第31巻 第4号 2018年 489-193頁
⑤ Kato N, Konomi K, Shinnzawa M, Kasai K, Ide T, Toda I, Negishi N, Sakai C, Tsubota K, Shimazaki J. Corneal Crosslinking for Keratoconus in Japanese Populations: One Year Outcomes and a Comparison between Conventional and Accelerated Procedures. Japanese J Ophthalmol,
2018 Sep 11;12:1769-1773.

水疱性角膜症

角膜の内側にある内皮細胞という細胞が損傷し、数が減ることにより、角膜の水分調節がうまくできなくなり、角膜がむくんでしまう病気です。
様々な原因で生じます。中には、生まれつき角膜内皮細胞が減りやすい体質の方もいます。
そういう方は、中年以降になると徐々に角膜がむくみ、視力が低下してきます。
原因によっては薬で進行をある程度抑えることもできますが、重症になると角膜内皮移植が必要です。

眼表面感染症

眼の表面は外界に接している部分なので、様々な病原体がついて感染症になることがあります。
特に、コンタクトレンズ装用などで角膜に傷がつくと、病原体がつきやすい状態になります。その他、植物が目に入ったなどでも病原体がつくことはあります。
元々身体や目に病気がある人や、ステロイドなどの特殊な薬を使っている人は、そうでない人に比べて感染症になりやすい傾向があります。
眼の表面の感染症は、原因となる病原体によって様々な症状が出ますが、目が充血する、痛みがある、目やにや涙がたくさん出る、見えにくい、などのうち1〜2個以上の症状がある場合は早めに診察を受けて、適切な治療を始めるようにしてください。
治療が遅れると、眼の表面に傷跡が残ってしまうこともあります。

アレルギー性結膜炎・アトピー性角結膜炎・春季カタル

花粉症やダニ・ハウスダストなどの軽いアレルギー性結膜炎では、眼のかゆみが特徴です。かゆみがあるときには、こすらず、点眼薬でかゆみを抑えるようにしてください。
アトピー性皮膚炎のある方や、春季カタルなどの重症のアレルギー性結膜炎のある方は、花粉症やダニ・ハウスダストによるアレルギーとは違った強い治療が必要です。

その他角結膜疾患全般 屈折矯正

屈折矯正とは、近視・遠視・乱視などを、様々な方法で矯正して、良い視力を得ることを言います。
メガネやコンタクトレンズなども屈折矯正の一部です。
レーシックやICLなど、手術で裸眼視力を向上させる方法もあります。
いずれに方法も、その人の目の状態や生活スタイルに合わせて適切な方法を選ぶ必要があります。
専門の病院・クリニックで個別の相談が必要です。

白内障

目をカメラに例えると、レンズに相当するのが水晶体です。
白内障は加齢によって水晶体が濁る病気です。70歳前後になると100%の人が白内障でなんらかの症状が出てきます。
その他、アトピー性皮膚炎、怪我や手術、特殊な病気や薬を使用した場合などは、若い年齢でも白内障になることがあります。
白内障になって見え方が悪くなった場合には、手術によって治療します。病院・クリニックでの個別の相談が必要です。