再び、レーシックについて 

友達から、息子さんがレーシックを受けたがっているけど、どう? と言う質問を前から受けていました。

息子さんの年齢は21歳。近視の強さはわかりません。

でも、関西にお住まいなので、私が直接診察することはなく、近くの眼科の先生何人かに見てもらって、異口同音に

「きれいな目に手を加える必要はないよ」

と言われたので、ご本人も納得して受けないことにしたそうです。

結論から言うと、私も彼にはすぐには手術は勧めません。

でも、私が彼に勧めない理由は

「きれいな目に手を加える必要はない」から

ではありません。

日本の眼科の先生の中には、いまだにこう言う考えの方がたくさんいます。

でも、レーシックは、決して危険な手術ではありません。

むしろ、眼科の手術の中では安全性はすごく高い手術の一つです。

近視があって、でも職業的にメガネができないとか、コンタクトレンズ不耐症と言って、何らかの理由でコンタクトができないタイプの方もいます。

例えば、アレルギーがすごくひどい、とか。そう言う人は、コンタクトレンズをするとアレルギーがもっとひどくなってしまい、だからと言ってメガネをかけたくないということだってあります。

手術を受けるということは、誰でも多少は怖いと思いますが、それを乗り越えても

「受けようかな?」

と考えると言うことは、それなりに何か困っていると言うことなので、そこを無下に

「親からもらったきれいな目にメスを入れることはないよ」

と言ってしまうのは、どうなんだろう?と私自身は思います。

どのぐらい困っているのかは、本人しかわからないことです。

それを、まるで親不孝をするような言い方をするって、ちょっと話がすり替わってる気がします。

批判を覚悟で書くと、

そんなことを言う眼科医は、レーシックのことをちゃんと知らないんだと思います。

ただし、冒頭にも書きましたが、私なら彼にはまだ手術は勧めません。

その理由は、

若すぎるから。

実は、

レーシックは若いと言うこと自体が、リスクになり得る

のです。

レーシック後の合併症の一つに、角膜拡張症というのがあります。

それは、手術をした直後は近視が治るのですが、数ヶ月から数年経ってから、角膜が変形してきて、近視や乱視が出てきてしまって視力が下がるという合併症です。ひどい人ではハードコンタクトで矯正しないと見えなくなったり、角膜移植が必要になったりするのです。

以前は、強度近視に手術して角膜を削り過ぎてしまったり、軽度の円錐角膜の人に手術してしまったりしたら起きる、と思われていました。

現在では、度数とか、もともと角膜の形が特殊な人や、角膜が薄いタイプの人、年齢とかを総合的にスコアにして判断する指標があるのです。

詳細はこちら↓(英語ですが)

https://eyewiki.aao.org/Ectasia_After_LASIK

逆に言えば、20代後半になれば、それだけでリスクは多少減るのです。

あとは、その人の度数とか、目の解剖学的な構造とかを総合的に見て判断になります。

もちろん、それ以外の理由でできない人もいます。

ですから、これは専門のクリニックでしっかり調べて、メリット、デメリットについてもちゃんと説明を受けた上で決めて欲しいのです。

たとえ、医学的にできたとしても、手術は魔法じゃないんだから、したことによるデメリットだってあるんです。要はメリットどデメリット、どっちが多いか、という問題。

そんなこと言ったら、コンタクトレンズだってリスクゼロじゃないんですよ。

そして、それは別に近視矯正だけじゃなくて、世の中のほとんど全ての選択肢において言えることですよね?

例えば、学校を選ぶだとか、誰かと結婚するか、とか。

ここをですね、強調しておきたいです。

私は決してみんながレーシックをすればいいとは思っていません。

でも、本当に必要な人とか、コンタクトレンズができなくて困っている人には、選択肢の一つとしてあってもいい手段だと思います。

だから、ぜひ、「親からもらったきれいな目に・・・」的な理由ではなくて、具体的なメリットとデメリットをよく聞いて、理解した上で決めて欲しいと思います。

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