理由のない処方はしたくないんです

私はどうもちょっとめんどくさい人なんじゃないか、と自分で思うことがあります。自分のやりたいことにはすごい力が出て頑張れるので、だいたい周りの人からパワフルで元気一杯だと思われてることが多いんですが、実は「理由もなく頑張ること」がすごく苦手です。つまり自分なりの理由なり目標なりがあるとすごく頑張れるんだけど、理由や目標が不明確で納得できないと全く頑張れません。すごく典型的なのは、「これはみんながやってることだから我慢してやりなさい」と言われること。これ、すごく苦手です。みんなが我慢してることと自分が我慢して頑張ることとは別物、と思ってるかどうかは自分でもよくわからないんだけど、とにかくそれは自分の中では頑張る理由にならない。すごーくモチベーションが下がってたとえやったとしてもやっとやっとになってしまいます。

もしかしたら、それと同じ理屈じゃないか、と最近思うのが、「診察の時に意味のない目薬を処方するのが嫌い」ということです。結膜炎じゃないか、と思っても、絶対これは原因が細菌だ、と思わない限り抗生物質出したくない! アレルギーに違いない、と思わない限りアレルギーの薬も出したくない。でも、みなさんも薬は必要最小限の量しか使いたくないし、余分な薬を使って副作用が出たら嫌だって思ってますよね? 

眼科だけど、時々「鼻炎の薬も出してください」とか「頭痛の薬を出してください」とか、極端な場合には「睡眠薬を出してください」と言われることもあります。こういう時、私は極力出したくない。だって、自分できちんと診断できないわけですから、「診断できないのに薬出したくないなあ」となってしまいます。適当に無難そうな薬を出すことで、本来行くべき科を受診するのが遅れて、病気がひどくなってしまうことだって考えられるわけですから。ところが、そうすると患者さんから「どうして出してくれないんですか? この前の先生は出してくれたのに」と言われるんですが、これまた私には理由にならなくて、「この前の先生と今日の先生(つまり私)は違う人だから。私は自分がわからないものには薬は出したくないの。ましてや他科の薬は飲みあわせや副作用についても詳しく知らないし。点鼻薬が欲しいなら耳鼻科に行って診てもらってくださいよ」ということになってしまいます。そうすると、外来で5分も押し問答する羽目になり(私にしたら誠心誠意ご説明してるつもりなんですけどね)、さらに外から「あの先生は出してくれなかった」とか聞こえてきたりすると、「こんなだったら出してあげたほうが楽なのに・・・」と自分でも思ったりしています。さらに、「自分は頭が硬いんだろうか?」とちょっと自信喪失したりして。

でもですね、よくあるんですよ。他科の先生が親切に点眼薬を出してくれていたおかげで、点眼薬のアレルギーになってるのに気づいていなかったりとかいうことが。だから、私たちが当てずっぽうで、「はいはい、睡眠薬ね、いつものね」と出してると、いつかそれが蓄積してその人にとって良くない副作用が出るかもしれない!などと思うわけです。確かに、眼科で2時間待ってからもう一度耳鼻科などの他科に行くのは大変だって気持ちはわかりますけどね・・・。

それはともかく、私の外来では、結膜炎と言って来た人には目ヤニを細菌検査に出すことが多いし(だって、原因になってる菌の種類によって有効な抗生物質が違うから。効かない薬をつけても直らないし)、いつもの薬をください、と言われても、私の回でその薬の処方をバッサリやめたりすることもあります(だって、前にも書いたけど、点眼薬のアレルギーになったり、ステロイドで副作用出たりすることもありますから)。

あと、作用機序が不明確な薬も好きじゃありません。もちろん世の中には作用機序なんて全部わかってない薬だってあるし(特に自然界にある植物とかから作られているような薬)、また、人間の身体のことだってそんなに全て説明できる訳でもないんだけど、それでも西洋医学(って言葉、今でも使う?)をやってるものとしては、せめて自分が納得できる程度には自分の中で理論を考えて処方したい。

そういうわけで、患者さんにはよほど病院のない地域にいるのでない限り、眼科で頭痛薬とか点鼻薬とか睡眠薬とか便秘薬を欲しいとお願いだから言わないで欲しいんですけど、こういうのも遠隔医療システムとかで、適切に専門家に相談できる時代が早くくると良いですよね。そしたら、私の悩みも一つ減るわけです。

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