新しい治療と情報リテラシー

医学の進歩って本当にすごくて、私たちが大学を卒業した頃には不治の病だったのに、最近では治るようになった病気はたくさんあります。

治療法や外科手術の変化も、隔世の感で、侵襲はできるだけ小さく、手術時間は短く、入院期間も短く(場合によっては日帰りに)、社会復帰もどんどん早くなっています。

もう、それは良いことに他ならない。

だけど、この進み具合を間近で見ると、ホント、すごいですよ。

いろんなものが進化していますが、最近私が1つ、けっこう驚いたことは、子供の近視の進行予防がすごくメジャーな研究テーマになってきたこと。

というより先に、世界中で今、近視は増えてるらしいです。

その理由ははっきりわからないらしいけど。と、ここまでは、学会とかで聞いた話の受け売りです。

さて、近視の進行予防の方法で、今、期待が寄せられている、またはこれまで試されてきた方法はいくつかありますが、メジャーなものは

・アトロピン点眼

・近視予防用メガネ、またはコンタクトレンズ

・オルソケラトロジー

などです。

ただし! 

決して誤解しないでいただきたいのは、どれも統計学的には有意差あり、というデータもあるけど、完全に近視になるのを防げる、などという夢のような結論が出ているわけではない、ということです。

たくさんの人の平均値をとると、治療した方のグループがそうでないグループに比べてやや抑制効果がある、という程度の研究がほとんどです。

個々人が、明らかな効果を確実に期待できるようなものではない、と思った方が良いでしょう。

まだ、1〜2年程度の経過観察期間の研究が多く、これが、10〜20年後にどうなっていくのかについては、未だ不明。

でも、どうなっていくのか、非常に楽しみなテーマではあります。

そして、このような微妙な時期のものを患者さんに聞かれた時に、正確に説明できるかどうか、というのが、なかなか真価が問われる瞬間かなあ、などと思ったりもします。

「いいよいいよ、近視の進行が止まるよ!」と言ってガンガン勧めるのもちょっとどうかと思うし、

かと言って「そんなもの、まやかしだ! やらない方がいい!」というのも頑なすぎです。

立派そうに見える学会や論文のデータだって、もしかしたら、ですが、大手スポンサーの意向が反映されている可能性がないとは言えないし、もしかしたら、声の大きい人、社会的地位の高い人の意見が、真実より勝ってしまってる時もあるかもしれません。

この辺は、本当に自分で論文を読んだり、場合によっては実際にデータを見比べたりして、バックグラウンドとともに状況を見極める力が必要です。

過剰に保守的になるのでもなく、なんでも新しいものにむやみに飛びつくのでもなく、情報リテラシーを高めて、自分で判断する能力が求められますよね。

でもまあ、何はともあれ、以前治らなかったものが治るようになること、超強度近視になるのが防げるようになることは、人類にとって良いことだと思います。

軽い近視なら、現代社会の生活にはかえって便利と言えますが、超強度近視は他の病気を合併したりすることも多いので、防げるものなら防いだほうがいいですから。

そして、以前は、強度近視は生まれ持った体質だからどうしようもないと思ってたのに、それを防げる時代が来るとしたら、本当にすごい、感動です!

早く、明快な結論が出てくれないかなあ、と、基本はとても期待しています。

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