円錐角膜は再生医療の対象には当分ならない

先週、大阪大学でiPS細胞を使って初めて患者さんの角膜の治療が行われた、ということですね。

N先生、記者会見に出ていらっしゃいましたね。

www.med.osaka-u.ac.jp

研究が進んでとても喜ばしいことです。

しかし、これに関連して、円錐角膜の患者さんから以前より時々

「再生医療で近い将来直せるようになるんじゃないですか?」

とご質問を受けることがありました。

でも、残念ながら、円錐角膜はまだまだiPS細胞とか再生医療の対象にはならないと思います。

というのは、今回の大阪大学の治療は「角膜上皮」という、皮膚でいうなら表皮に相当する部分のみの治療です。角膜全体を体外で再生して移植する、ということはまだできません。

一方、円錐角膜はどちらかというと、「角膜実質」という角膜の厚みの9割を占めるコラーゲンの層の部分の病気です。だからそもそも治療してる部分が違います。

円錐角膜に関しては、再生医療で治療できる日が来る兆しは今の所あまり見えません。

でも、実はこれ、残念じゃないんです。

というのは、そんな難しいことしなくても、円錐角膜の治療法はすでに色々ありますから。

そして、円錐角膜については、そんな角膜移植やら再生医療やらが必要になる前の段階で、早期発見・早期治療に力を入れることで希望が持てる時代になってきました。

むしろ私は、「iPSで治療できるようになる日を待つ」と言って待ってるうちに、もっと悪くなってしまって、治療できる時期をすぎてしまう人が出ることの方が心配です。

しつこいですが、ここに過去記事を貼っておきますね。


「でも、すでに進んでしまって、早期治療とかの段階は過ぎてる」と言う方もいらっしゃると思いますが、コンタクトレンズも工夫されているし、本当に、いろんなものが10〜20年前と比べたら隔世の感があります。

ぜひ、お近くの専門医を受診していただき、直接ご相談ください。

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です