学校が休みだと検診もなくなるの？
新年度になりましたが、今年は年度が変わった、という実感よりも、緊急事態宣言が出るかということの方が気にかかります。
自粛であまり外に出なくなっているし、ちょうど昨年度末から、あちこちで感染者が増えて、あまり肺炎と関係ない眼科では、患者さんは減少傾向。
私も、疲れ目の薬とか取りに来院される年配の方には
「この薬、なくなっても慌てて取りにこなくていいですからね」
と念押しして処方しています。
眼精疲労の薬を取りに来て、コロナに感染したら洒落にならないです。
ここでおさらいをしておくと、本当に急いで取りにいかなくちゃならないのは眼科の場合、緑内障の薬とか、術後日が浅いときの薬とか、何か疾患（重症アレルギーとか、ぶどう膜炎とか）があってずっと治療している人の薬です（下記参照）。
学校も、再開予定だったのが、また休校が延長になったところが多いようです。
ということは、学校検診も今年は延期でしょうか。
でも、日本の学校検診は結構うまくできていて、それで疾患が見つかったケースも多々あったのではないかと思います。新型コロナの感染拡大防止は何よりも優先順位が高いですが、そのせいで子供の重大な疾患が見落とされるのも困ります。
ただ、システムができたのが多分昭和の頃だと思うので、そろそろ時代にマッチしなくなって来ているものもあるかもしれません。これもまた、騒ぎが落ち着いたら見直しても良い項目なのかもしれません。
他の科のことは置いておいて、眼科検診でいうなら、いわゆる「あっかんべー検診」は本当にいるのかなあ？という気もします。
俗称あっかんべー検診というのは、眼科医が学校に出向いて、一列に並んでやってくる子供達の外眼部を軽く診察する、というものです。でも、普段外来で使っている診察器具を持って行くわけにはいかないので、肉眼で見るだけになります。そうすると、よほど目立つ所見しかわからないのですね。
すごい角度のある斜視とか、明らかな結膜炎とか。
で、そういう子供は、今の時代、大抵ちゃんと病院で治療を受けているわけです。
私もこれまで何回か検診に行ったことありますが、何クラスに一人ぐらいの割合で、結構なアレルギーのお子さんとかいましたが、ほぼ全員「通院治療中」でした。
で、その検診の紙に「水泳の授業の参加可否」を書く欄があったりするんですが、これこそいるのか疑問。なぜなら、「感染防止」という観点から水泳の授業に出られないのは急性の感染性結膜炎などの場合で、それは春に検診しても夏までには大抵治りますから。
「本人の目を守るために水泳不可」というお子さんは、大抵症状が強くて眼科にかかっていて、個別に指導できている場合がほとんどです。
ただ、視力測定に関してはうまくできてるな、と思います。子供の視力測定はプロがやっても結構難しいのですが、現在では0.3、0.7、1.0の三つの指標だけを見せて、それが見えるか見えないかでABCDの４段階に分け、悪い方のCとDは眼科受診を推奨する、というものです。
この検診で、遠視や強い乱視が見つかって、早い時期に治療して助かった人もたくさんいるんじゃないでしょうか。
この視力測定の仕組みは、確か私自身が子供だった頃には、保健の先生が普通に視力を測っていた記憶があります。でも、繰り返しますが、小学生の視力測定って、結構難しいんです。正直言って、私もちゃんと測定できる自信ありません。今は病院では、専門の教育とトレーニングを受けたプロの視能訓練士さんが測ります。
で、測られる児童生徒の方は、あのオタマジャクシのような遮眼子（目を隠す道具）を反対眼に強く当てすぎて、片方はよかったのにもう片方はぼやけて見えなかったり、後ろに並んでる子が答えを教えたり、はたまた待ってる間に視力表を丸暗記するツワモノもいたっけ・・・（笑）。
とにかく、昔の視力検診よりは、今の４段階方式の方がよほど手間も少なくて実利もあると思います。やっぱり途中で見直されたものは良くなってる。
それはともかく、学校検診まで延期になったら、今年小学校入学する子供たちの中に、稀に遠視を見落とされてる子とか出ないかな、というのはちょっと懸念事項です。
かと言って、代わりに全員眼科に行ってね、というわけにもいかないし・・・。
これは、どうすれば良いんでしょうかね。
各家庭に視力表配布？ もお金がかかる割にいまひとつだな〜。
と思ったら、結構スマホで視力検査できるアプリが出回ってるじゃないですか！
お子さんのいる方、学校がなくても、時々アプリで視力チェックをお願いします。
チェックするのは、裸眼視力と、メガネをお持ちの場合はメガネをかけた時の視力です。
３〜４ヶ月ごとでいいと思います。そして、明らかに下がってるようなら、その時は空いているタイミングを狙って、眼科受診をお願いします。
