ペルーシド角膜辺縁変性
ペルーシド角膜辺縁変性(PMD)は、円錐角膜の亜型です。
通常の円錐角膜は、10〜20歳代前半ぐらいに発症して、その後歳をとるとともに進行しますが、30〜40歳ぐらいになると進行が止まってくることが多いです。それに対して、PMDの場合には、30歳以降で症状に気づいて、その後も進行し、中には50歳を過ぎてからも進行し続ける人もいます。割合は円錐角膜全体の10%以下だと思います。ちょっと珍しいタイプの円錐角膜ということができます。
PMDの方は、30歳を過ぎてから、乱視が強くなって見えにくくなってきたことに気づきます。
眼科で診察すると、通常の円錐角膜と違って、角膜の辺縁、下の方に薄くなって前方突出している部分があります。角膜形状解析検査をすると一目瞭然です。大人になってから発症するので、運転の仕事についている人などでは、結構大きな問題です。
もしPMDになってしまった場合には、通常の円錐角膜と同じく、重症になって乱視が強くなってしまう前に角膜クロスリンキングをして、進行をまず止めてしまうのが良いと思います。
レーシックなどの角膜を削るタイプの手術は禁忌です。病気をさらに悪化させてしまうことになります。
(ただし、最近のレーシッククリニックなどでは、そこのところは事前にものすごく検査していますので、間違えて手術されてしまうことはほぼ皆無でしょう)
進行を止めた後、乱視が強くなければ、眼鏡やソフトコンタクトレンズで矯正、乱視が強くてハードコンタクトができればハードコンタクトレンズで矯正しますが、中年以降になって初めてハードコンタクトレンズをするのは、なかなか慣れるまでに時間がかかり、ハードルが高いことが多く、その場合はちょっと困ります。
患者さんを普段診察していて思うのは、「ここまで悪くなる前に気づいて早くきてくれればよかったのに」ということですが、患者さん自身が見えにくいことに気づいていないので、これはもうどうしようもないことです。
だからこそ、眼科検診の必要性があると思います。
自分で大丈夫だと思っても、年に1回ぐらいは眼科で視力と眼圧を測り、白内障や緑内障がないかどうかの検診を受けておくことは、とても重要です。
その時に、白内障や緑内障以外の病気も見つかることが多いです。
逆に言えば、それさえやっておけば、病気が悪くなって苦しんだり困ったりする人は大幅に減らせると思います。
先進的な技術があれば治るをモットーに、円錐角膜治療で進行を止めるための角膜クロスリンキングを日本で初めて導入した実績があり、国内の角膜クロスリンキング手術を牽引しています。また新しい角膜内皮移植DMEKの執刀ができる数少ないドクターの一人です。