点眼薬の使い方
こんにちは。
少し間が空いてしまいました。
今日は点眼薬の使い方について書きたいと思います。
点眼薬といっても、病院でもらう処方薬について、です。
市販薬のことはあまりわかりません。
私自身が市販薬を使うことがほとんどないので、自分で購入した経験もないのです。
一般的に、処方薬の多くは、5mlのボトルに入っています。
先端は、哺乳瓶の先のようにちょっと丸く尖っていて、穴が空いています。
で、この穴から液体の薬が出てくるようになっていますが、一部の特殊な薬を除いて、大方の薬は1滴が約50μlになるように設計されています。
すごく正確かどうかはわかりませんが、ざっとそんなもんだと覚えておいてください。
なぜ、最初にそんなことを書くか、と言うと、1滴50μlで、1瓶に5ml入っている、と言うことは、点眼瓶の中には、約100滴分=100回分の点眼薬が入っているのです。
点眼薬をつける回数は、多くの薬は一日4回です。中には、2回とか1回の薬もあります。
時々ですが6回というものもあります。
と、いうことは、です。
1日4回の薬だとすると、上手につければ、片眼だとすると1本で25日分あるはずなんです。
もし両眼につける必要があるとすると、12日分あるはずです。
ちょっとこぼしてしまったり、目に命中しないこともあるので、少し差し引いて考えても、両眼に点眼すると1ヶ月に3本というのが、普通です。
でも、外来で患者さんと話していると、2週間前に3本処方しているのに、
「無くなりそうだから、あと3本ください」
とかいう方が結構いらっしゃいます。
こういう時、ちょっと注意しなくてはいけないのは、
1) つけすぎていないか?
ということと
2) もっと瓶の中に残ってないか?
ということです。
つけすぎていないか? というのは、さらに分けると
① 一回に1滴以上つけていないか?
と
② 決められた回数より多くつけていないか?
というのに分かれます。
① 一回に1滴以上つけていないか?
これは、目薬の1滴50μlというのは、実は、目に入る量よりだいぶん多いのです。
だから目薬というのは、1滴でもちゃんと入れば、目から溢れるぐらいの量なのです。
それを2滴も3滴も4滴も・・・とたくさんつけると、今度は反射で涙が出てきて、目薬が薄まってしまい、効果が減る、と言われています。
なので、目薬はしっかり1滴入ったら、それ以上入れないようにしてくださいね。
そうすれば、長持ちしますから、しょっちゅうもらいに行かなくても良くなります。
② 決められた回数より多くつけていないか?
これも、4回と決められたお薬を例えば、8回とか10回とかつけてはいけないのです。
そうすると、目薬の効果は頭打ちで、逆に添加物の影響が出てきてしまったりします。
なので、指示された回数は守ってください。
あと、2)瓶の中に残ってないのか?
については、よく
「あとちょっとしか残ってない」
という患者さんに、じゃあ、ちょっと見せて、というと、まだ3/4ぐらい残っていたりすることが多いんですね。
「まだまだありますよ、ほらこんなに」
と実際にお見せすると、
「あら、ほんとだ」
とおっしゃいます。
「まあ、残ってたっていいじゃないの?」
という意見もあるでしょうが、特に手術の後とか、特殊な感染症とかの場合は、効果も副作用も強いお薬をお出ししていることもあるんです。
そういうのが、たくさん余って、ちょっと調子が悪い時に
「家にあった目薬をとりあえずつけた」
という患者さん、結構いらっしゃるのです。
でも、効果も強いけど副作用も強い薬は、間違って使うと大変な合併症を起こすこともあります。
なので、勿体無いし、そういうリスクもあるので、一応、
「これが終わって調子が良かったら、次は徐々に弱いお薬に替えていきたいから、まだたくさん残ってるから、残りを使ってくださいね」
とお話しすることが多いわけです。
以上、目薬の使い方でした。
点眼が命中しにくい、という方は、下記をご参照ください。
参天製薬さんのホームページ
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/eyelotion/
点眼補助具 らくらく点眼
https://www.kawamoto-sangyo.co.jp/products/2442/
先進的な技術があれば治るをモットーに、円錐角膜治療で進行を止めるための角膜クロスリンキングを日本で初めて導入した実績があり、国内の角膜クロスリンキング手術を牽引しています。また新しい角膜内皮移植DMEKの執刀ができる数少ないドクターの一人です。