円錐角膜の方には障害者総合支援法の補装具としてコンタクトレンズ費用が一部支給される可能性があります
コンタクトレンズは、円錐角膜の方の視力矯正法の中でも中心的な存在です。
円錐角膜が中等度以上になってくると眼鏡では日常生活を送るのに十分な視力が得られなくなり、ハードコンタクトレンズが必要になってきます。そして、ある程度以上重症になってくると、円錐角膜の方用の特殊なデザインのレンズが必要になってきます。
さて、普通のハードコンタクトレンズは1枚1万円ちょっとぐらいのお値段です。ところが、重症の円錐角膜用の特殊レンズになると、価格がとても高くなり、1枚3万円以上します。両眼に進行した円錐角膜がある方は、一度の処方で6〜7万円の費用が必要です。
しかも、ハードコンタクトレンズは1年半から2年ぐらい使用すると表面に細かな傷がついたり歪みが出てきたりして、徐々にトラブルが増えるようになってきます。そのため、本来であれば1年半から2年ぐらいで新しい物に交換するために再処方することが望ましいので、かなりの金銭的負担です。
さて、現在、国が定める障害者総合支援法の難病等の中に円錐角膜が含まれており、円錐角膜の患者さんには補装具としてコンタクトレンズが支給される可能性があります。ただ、どの程度の支給になるのか(大抵は全額ではなく費用の一部)は、各自治体によって判断基準が異なっているようです。
円錐角膜でコンタクトレンズが必要な方は、レンズを購入する前にお住いの自治体の役所で、障害者総合支援法の対象疾患として円錐角膜へのコンタクトレンズが補装具として支給されるかどうか、問い合わせてみてください。その上で支給される可能性があるのであれば、「医学的意見書」という用紙をもらって病院に持参してください。眼科医が必要事項を記載します。ただし、支給が行われるかどうかは医学的意見書を提出した後の判断になるようです。
時々窓口の人から「身体障害認定」のための「診断書・意見書(視覚障害用)」の書式を渡されて持参される方がいます。円錐角膜は眼鏡では視力がでなくても、コンタクトレンズで視力が出ることが多いので、円錐角膜だけで身体障害者に認定されることはほとんどありません。この場合は、何か窓口の方が勘違いされているのではないかと思いますので、もう一度問い合わせていただいた方が良いかもしれません。
患者さんにとっては、何度もお役所と病院を往復するのはご負担かと思いますが、コンタクトレンズ費用の一部だけでも支給される可能性がありますので、せめて電話一本でもかけて確認してみることをお勧めします。
「障害者総合支援法」の「補装具」の申請です。
そして、全国の眼科医師の方には、患者さんが持参された意見書には、「コンタクトレンズがないと日常生活が送れないこと」をわかりやすく記載してあげてくださいますようお願いいたします。
先進的な技術があれば治るをモットーに、円錐角膜治療で進行を止めるための角膜クロスリンキングを日本で初めて導入した実績があり、国内の角膜クロスリンキング手術を牽引しています。また新しい角膜内皮移植DMEKの執刀ができる数少ないドクターの一人です。
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