使い捨てタイプのコンタクトレンズの隠れたリスク

コンタクトレンズは便利なものだし、市場もすごく大きいそうです。

コンタクトレンズの売り上げは、世界全体では1兆円規模で、そのうち日本は25%を占めていて、アメリカに次ぐコンタクトレンズ大国なんだそうです。https://www.sbbit.jp/article/cont1/36348

コンタクトレンズの売り上げは、2019年までずっと成長し続けていたみたいですが、2020年は横ばいになったようです。https://www.jcla.gr.jp/membership/outline/marketsize.html
コロナで出かけることが減ったからかもしれませんね。確かに、患者さんに聞いても、「最近は出かけないのでずっとメガネです」という方が多い気がします。

一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会のホームページより




さて、コンタクトレンズには、大きく分けてハードレンズとソフトレンズがありますが、ソフトレンズは異物感が少ないし装用中に眼から落ちたりずれたりすることも少なくて誰でも使いやすいレンズです。ただ、ソフトコンタクトレンズで怖いのは、感染症です

特に、最近では、昔のようなケースごと煮沸するような消毒は行われなくなって、マルチパーパスソリューションを用いた化学消毒になりました。つまり、消毒液にコンタクトレンズを浸して消毒する、というものです。

手軽なのですが、この方法だとレンズケースの蓋を閉めるスクリューのあたりまでしっかり消毒できず、ケースに病原微生物が残ってしまう、ということが言われています。どんなに気をつけても、使う期間が長ければ長いほど(ワンデー<<2週間<<1ヶ月など)コンタクトレンズに関連した感染症のリスクは増加する傾向があります

これを知っているので、私自身は自分がコンタクトレンズをする場合も、自分の身内がする場合にも、ワンデー以外のものを使用する気にはなれません。

では使い捨てのワンデータイプなら大丈夫なのか? というのが今日の本題です。

答えは、ワンデーをちゃんとワンデーとして使っている限りは、ほぼ大丈夫です。(医学に100%はありませんので、“ほぼ”としておきます)。

ところが、私、この数年間に何人か、ワンデータイプのレンズを使っているのに、ひどい感染症になった人に出会いました。いずれの方も、50歳以上の女性で、身の回りのこともきちんと出来ていそうな感じの人でした。つまり、いかにも、「この人、ちゃんと消毒してないだろうなあ」という雰囲気は感じませんでした。

「コンタクトレンズしています。ワンデーです。」と言われて、じゃあ、コンタクトレンズが原因じゃないのかな?と最初は思いました。ところが、よくよく聞いてみると「老眼で近くが見えないので、本を読むときにはコンタクトレンズを外して、読み終わったらまたそのレンズを目に入れてました」とのこと!

びっくりしました!!

それは・・・ワンデーをちゃんとワンデーとして使っているとはいえません


「ずっとそのやり方でやってきたけど大丈夫だったのに」とおっしゃった方もいましたが、1回や2回、眼から外したものを入れ直したからと言ってすぐ感染症になるわけじゃありません。でも、これはいわばロシアンルーレットのようなものです。いつか何百回、何千回かに一度でも、感染症のくじを引いてしまうと本当に大変なことになります。薬で治療しても瘢痕が残って視力が出にくくなったり、ひどい場合には角膜移植が必要になったりします。眼が痛くなって視力が下がって不安に感じる時間、入院して治療する時間、後遺症が残って苦労する時間や失う機会のことなどを考えたら、レンズ代をケチるなんてどう考えても割りが合いません。


ワンデータイプのコンタクトレンズは、一旦目から外したら、もう2度と目に入れないでください!
一度外したものは、どんなにもったいないと思っても捨ててください!!



使い捨てコンタクトレンズが世の中に出回り始めたのは、1990年代のことです。それから30年経って、当時コンタクトレンズを使い始めた若者たちが老眼世代になり始めました。

コンタクトレンズユーザーが老眼になった場合には、
*コンタクトレンズの上から老眼鏡をかける
*コンタクトレンズの度数を少し弱めにして近くを優先にする
*左右のレンズの度を少しずらして片眼で遠く、片眼で近くを見るように調整する
*遠近両用コンタクトレンズを使う
など、複数の対処方法があります。ご自分に合った方法を、眼科医と相談してください。


そして、くれぐれも、ワンデーを外してその辺に置いておいて、またつける・・・というのだけはしないようにしてください





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