学校検診に角膜形状解析検査を加えて欲しい件

昨日、東京ビッグサイトで開かれた日本眼鏡学会で、円錐角膜に関する講演をさせていただきました。

皆さん、円錐角膜という病気をご存知ないかと思ったら、意外とそんなことはなくて、病気の名前はご存知のようでした。

それはそうですね、眼鏡関係のお仕事の方達ですからね。

でも、治療法については、あまりご存知ないようでした。

これも至極当然。なぜなら、円錐角膜はある程度以上になると、眼鏡で視力で矯正できなくなってしまいますから。

で、何度も書いてますが、円錐角膜は最近、進行を止めることができるようになってきたので、早期発見して、早期に治療するのがものすごく大事です。早期治療すれば、その人は一生メガネで運転免許だって取れるように保てるわけですから、これをなんとか世の中の大勢の人に知ってほしい、ということで、今回お話をする機会をいただいたわけです。

ほんと、ありがたいです。

ところで、これも前にも書いていますが、円錐角膜は割と報われない病気だと思います。

というのは、ちゃんとした病気だということは誰もが認めるところだし、こうやって早期発見すれば進行が止まるということがわかってきているのに、諸事情により治療費が保険収載される見込みが今のところありません。

だから、治療の有効性は確率しているにも関わらず、自費で結構なお金がかかります。

しかも、コンタクトレンズも高かったり、それでも長時間つけられなくて不自由だったり、とかするのに、なんだか救済手段が少ないです。

自治体によっては、コンタクトレンズの料金に多少の補助が出るところもあるけど、それが一括してまとめられてるサイトとかもないようだし(少なくとも私は知りません。誰か知ってたら教えて!)。

進行を止める治療である、角膜クロスリンキングに至っては、全く補助とか出ないんじゃないでしょうか。

こうやって法の隙間をこぼれ落ちている疾患はたくさんあるんでしょうね。

でも、角膜クロスリンキングについていえば、海外は大抵なにがしかの補助がある国がほとんどですからね。

こんなに、先進国、医療大国を名乗ってるのに、角膜クロスリンキングに対して何もない国って、日本だけですからねっ!!

それはともかく、全国の同業者の先生にも、ぜひ円錐角膜はまだ眼鏡で視力が出るうちに、早めに角膜クロスリンキングをしてほしい、とこの場を借りてもう一度お願いいたします。

そして、私が次に円錐角膜を知って欲しいのは、学校の先生たちです。

特に、養護の先生とか保健体育の先生にお願いしたいです。

毎年の学校検診で、円錐角膜という病気があるよ、ということを意識して欲しい。円錐角膜の子は、特に10代の若者は、一刻も早く角膜クロスリンキングをして、視力が低下して進路に影響を及ぼすようになる前に進行を止めるよう指導して欲しい!

できれば、学校検診に、角膜形状解析検査を入れて、学校でスクリーニングをして欲しい!

そして、器械メーカーの方には、ぜひ学校検診で使えるような廉価な検査装置を開発して、全国の学校に入れて欲しい! 

多分ですね、高校生ぐらいなら100〜300人に一人ぐらいは、円錐角膜疑いの子供がいると思うんですよ。

これって頻度低すぎてコスパ悪いですか? そんなことないですよね? 学校検診で、心電図取りますよね? この学校心臓検診で、心臓の異常が引っかかる確率は0.69%だそうです。

内訳は、心室期外収縮が370人(60%)で最も多く,WPW症候群118人(19%),心房期外収縮29人(4.7%),完全右脚ブロック27人(4.3%),2度房室ブロック18人(2.9%),QT延長症候群15人(2.4%),1度房室ブロック14人(2.2%)だそうです。

Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery 33(2): 125-134 (2017) より

でも、最も多い心室期外収縮はあまり問題にならないことが多いから、本当に危ないものはもっとずっと少ないけど、それでも心電図をしっかり設置してやるわけですよね。 

円錐角膜も、本当に悪くなると、その人の生涯に大きな影響を与えてしまう疾患で、しかも学校検診でのスクリーニングがとても意義がある疾患だと思います。

学校関係者の皆様、メーカーの皆様、ぜひご検討くださいませ!!

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