将来のクロスリンキングを予測する因子

先日、私たちの論文がPLOS ONEという雑誌に掲載されました。

タイトルは、Baseline factors predicting the need for corneal crosslinking in patients with keratoconus (円錐角膜患者のクロスリンキングの必要性を予測する因子)です。


論文は、こちら。

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0231439



英語なので、簡単に中身をご紹介します。


これは、2回以上間をあけて診察した円錐角膜の患者さんのデータを解析したものです。複数回通院する間に円錐角膜が進行してクロスリンキングが必要になった人と、進行しなかったのでクロスリンキングをしなかった人の初診時の検査データを見比べて、その後にクロスリンキングが必要になった人に何か特徴があったのかどうかを調べました。

結果は、初診時の年齢と、Rmin(角膜前面のもっとも尖っている箇所の尖り具合を示す数値です)が、その後のクロスリンキングの必要性に相関していた、というデータが出ました。つまり、初診時に若い人ほど、また初診時に角膜がすでに尖っている人ほど、その後の経過で円錐角膜が進行し、クロスリンキングが必要になった、ということです。

特に、20歳未満でRminが5.73mm以下の人では、そのうちの86%に、その後の経過中にクロスリンキングが必要になっていました。それに対して、27歳以上でRminが5.73mm以上の人では、その後に円錐角膜が進行したのは約10%だけでした。


ちょっとわかりにくいと思いますので、もう少し噛み砕いて言うと、10歳代である程度の円錐角膜になってる人は、その後もっと進む可能性が高いから、クロスリンキングをして円錐角膜の進行を早く止めた方が良い。30歳近くなっても円錐角膜が軽い人は、進行するリスクは比較的低いから、あまり心配しなくて良い(急いでクロスリンキングする必要もない)、と言うことです。

クロスリンキングは、円錐角膜の進行を止める効果があることは、様々な臨床研究からはっきりしてきていますが、残念ながら視力を矯正する力はほとんどありません。なので、円錐角膜の人はなるべく早くに見つけて、悪くなる前に進行を止めることが大切です。

進行するかどうかを知るためには、これまでは間をあけて2回以上検査をして調べていました。しかし、進行の速い人だと、何度か検査をしている間に進んでしまうこともあります。なんとか初診の時に、一度の検査で今後進行するかどうかを判断する方法はないか、と思っていましたが、今回の研究で、一つ解決策が見つかったと思います。


この方法も完璧ではありません。例えば、10台で軽い人や、20台前半の人はどうなのか?と言われると、まだ何度か経過を見なくてはならないことは変わりありません。
でも、少なくとも一部の急いで手術をした方がいい人には早くそれを伝えることができるし、逆にあまり心配しなくても良い人には、しょっちゅう病院に来なくてもいいですよ、とお伝えすることができるようになったと思います。



少しでも、世の中のお役に立てたら嬉しいです。

これからも、さらなる検証を続けていきたいと思っています。

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