コンタクトレンズは眼球の裏側には行かない
外来をしていて、時々「コンタクトレンズが取れなくなった」患者さんに出会うことがあります。
または、「コンタクトレンズが紛失して、まだ目の中にあるかもしれない」という方もいます。
そういう時、多くの患者さんが心配して言う言葉にこんなのがあります。
「目の裏側に入ってしまったんじゃないですか?」
で、結論から言うと、コンタクトレンズが目の裏側に行くことはありません。
なぜなら、目の断面図を見るとこんな風になってるからです。
この図を見ていただけばわかるように、まぶたの裏側は結膜に覆われていますが、結膜は奥の方で折り返して今度は眼球の白目の表面を覆い、黒目と白目の境目のところで眼球についているからです。なので、まぶたの裏はポケット状になっていて、ここを結膜嚢(けつまくのう)と言います。
嚢というのは、袋という意味で、まさにポケットということです!
コンタクトレンズは角膜の上にのせて使います。
もっと正確にいうと、角膜の表面にある涙の中に浮いている状態で使ってます。なので、コンタクトレンズは瞬きをするたびに角膜の上で動いて動いています。
で、コンタクトレンズがずれると、結膜嚢に入り込んでしまうことがあります。
でも、結膜嚢はポケット状なので、コンタクトレンズが眼球の裏側まで潜り込んでしまうということは絶対に起きませんので、ご安心を!
ただ、結膜嚢の奥はあまり知覚がないので、そこまでコンタクトレンズが入り込んでしまうと、自分では入っているのかそれとも落ちてしまったのかわからなくなります。
そういう時、一番簡単なのは、上瞼を裏返してみることです。
小学校の頃、まぶたを裏返して10円玉を挟んでふざけている子がいませんでしたか?
あの要領で・・・と言っても、大人になると(いろんな理性も働きますし)ちょっと怖いかもしれませんよね。
なので、どうしても取れない場合には、眼科に行って診てもらってください。
痛みがなければ、慌てなくても、翌朝になってからで大丈夫です。
先進的な技術があれば治るをモットーに、円錐角膜治療で進行を止めるための角膜クロスリンキングを日本で初めて導入した実績があり、国内の角膜クロスリンキング手術を牽引しています。また新しい角膜内皮移植DMEKの執刀ができる数少ないドクターの一人です。