健診の重要性

普段、病院で患者さんの診察をしていて思うことは、
「軽いうちに治療を開始したほうが、あらゆる意味でメリットが大きい」
ということです。

どんな病気でも、例えば白内障のように誰もがかかる病気でも、糖尿病網膜症や緑内障のような慢性の病気でも、とにかくあらゆる病気は早期治療がいいです。

白内障だったら、メリットよりリスクの方が大きくなってしまうようなあまりにも早期の手術はもちろん進めませんが、もう見えにくくなっている、年齢も70代の半ばになっている、というような場合は、ある程度のところで手術してしまったほうが良いことが多いと思います。

それを80歳まで待っているうちに、白内障はさらに進行して見えにくくなり、日常生活に影響が出たり(見えなくて転んだり)、手術自体の難度が上がったり、持病が悪化して手術がしづらくなったり・・・といろんな制約条件が出てくるからです。

また、糖尿病網膜症や緑内障などは、日本人の失明原因でも常に上位に上がってくる疾患ですが、進んでしまうと元に戻すことは困難です。これも早期発見・・・というより、糖尿病などは、網膜症が出る前から予防する行動をとることができます。具体的には、血糖コントロールと毎年の眼底検査が必要です。
これをわかっていてしない、というのは本当にもったいない!

緑内障だって、40歳以上で毎年眼底検査を受けておけば、ごく初期の状態で発見されて、1〜2種類の点眼薬をつけるだけで一生失明を免れることだってできる時代です。

もちろん、きちんと治療をしていても、それが功を奏さず進んでしまう人も時々はいます。
それでも、大方において早期から治療を始めることで、悪くなる人の割合を劇的に減らすことができるのです。

そのためには、何も自覚症状がない時からしっかり健診を受けることが大切です。


毎年人間ドックに行っている人も多いと思いますが、その他にも是非眼科健診も受けて欲しいです。というのは、人間ドックは内科など全身を診る科の先生が判定されていると思いますが、初期緑内障などはなかなか見つけにくいのではないかと思います。

この点は、もうすぐAIが発達してきたら、眼底写真から正確に診断できる確率がものすごく向上してくるはずです。でも、現時点では、まだAIによる判定はそこまで行き渡っていないと思うので、年に1回ぐらいはなんともなくても眼科も受診してください。

学生時代や会社勤めをしている場合には、学校や会社が強制的に年1回健康診断をしてくれると思います。でも、仕事をしていない人や自営業の方は、自分で決めないと、なかなかきっかけがないものですよね。


時々
「健診を受けた方がいいですよ」
と勧めると、
「何か見つかったら怖いから嫌です!」
という方がいますが、それは逆です。

どんな病気でも、早期治療開始して悪いことはありません。
早くに治療開始した方が、最終的な結果も良いことの方がずっと多いので、ぜひなんともないうちから健診を受ける習慣をつけてください。

これだけ医療が発達して、しかも安い値段で受けられる国に住んでいるのですから、重症化してから見つかるなんてあってはならない!ぐらいに思ってもらえるといいな、と思います。
そして、その方が医療費も(個人的に見ても、トータルで見ても)少なくて済むのです。







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