これは眼科? それとも? ① 閃輝暗点
外来診療をしていると、いろんな訴えの人がいます。
その中で、眼科疾患じゃないけれど眼科を受診するケースが多い症状の1つに「閃輝暗点」というのがあります。
閃輝暗点は、キラキラ、ギザギザした稲妻のようなものが、15〜30分程度視界の端に見える、という症状です。
キラキラ、ギザギザしたものは、最初は見ようとする部分のごく近くに見えますが、徐々に周辺に広がっていって、そのまま視界の端に消えていきます。
キラキラ、ギザギザが見えている部分は、遮られてよく見えません。
という説明ではわかりにくいと思うので、ググってみましょう。
https://www.topics.or.jp/articles/-/45968
このサイトに書いてある絵がわかりやすい気がします。
解説も、このサイトにある通りなのですが、あえて説明します。
若い人の場合は、閃輝暗点はほぼ100%近く片頭痛の前兆です。
大抵みんな、光が消えた後に頭が痛くなり、ひどい人になると吐き気がしたり、実際に嘔吐してしまったと訴えます。
これは、脳の血管の一部が収縮しているときに視界に閃輝暗点が生じ、その後拡張しているときに頭痛が起きるとする血管説がよく言われていますが、本当の詳しいメカニズムについては、わかっていないこともあるようです。
でも、片頭痛は決して珍しい病気ではありません。
子供からお年寄りまで起きますが、特に30〜40代の女性で頻度が高いとされています。
さて、実は私自身も片頭痛持ちです。
高校生の頃に初めて閃輝暗点が出て、その後も年に数回繰り返していました。
医学部の4年生ぐらいの時に神経内科の講義を聞いて閃輝暗点だとわかり、講義の後に先生に、
「私、閃輝暗点が出るんですけど」
と相談したら、いとも簡単に
「片頭痛だよ」
と言われました。
「頭痛はないんですけど・・・」
「いや、あるよ。次出たら気をつけてみて」
と言われて、気にするようになってみたら実は頭痛もあったことに気づいた、ということがありました。
そのぐらい症状が軽い人もいれば、毎回寝込んでしまうぐらい重い人もいます。
私自身は薬を飲むほど辛いと感じることはほとんどないのですが、重い人は最近では片頭痛用の良い薬がいろいろありますので、我慢せず頭痛外来や神経内科から処方してもらったら良いと思います。
そういう感じなので、外来で閃輝暗点の患者さんが来た時にはすぐピンと来ます。
患者さんが
「キラキラ、ギザギザしたものが見えて・・・」
と言い始めると、
「それが横に広がっていって、その後頭が痛くなったんじゃないですか?」
という感じです。
ただここで、残念だな、といつも思うことがあります。
それは、
「キラキラしたものが見えたのは片眼だけでしたか? それとも、両眼に見えましたか?」
と聞くと、ほとんどの人が、
「あら、どっちかしら?」
というようなリアクションをされることです。
なぜこのようなことを聞くのかというと、一般的に見えかたに何か異常がある場合、片眼だけに症状があるときには眼球や視神経の問題であることが多く、両眼に同じように症状が出ている場合には原因は脳にあることが多いからです。
片眼だけだったのか両眼に出ていたのかを聞くだけで、病気の原因がある程度推測できます。
もっと言えば、片眼だけの場合は眼科に、両眼の場合には内科か脳外科に行けば良い、という目安になるのです。
何か見え方がおかしいと思った場合には、是非片眼ずつ手で覆ってみて、どちらの眼に症状があるのかを自分でしっかり確認をする習慣にしてください。
あと、特に年配の人で今まで閃輝暗点が出たことがなかったのに突然出た場合、また閃輝暗点の後に頭痛が全くなかった場合などは、片頭痛ではなく脳梗塞の前兆だったりすることもありますので、そのままにせず早めに病院を受診してください。
先進的な技術があれば治るをモットーに、円錐角膜治療で進行を止めるための角膜クロスリンキングを日本で初めて導入した実績があり、国内の角膜クロスリンキング手術を牽引しています。また新しい角膜内皮移植DMEKの執刀ができる数少ないドクターの一人です。